ヴァイス追討の命

 

アルモリカ城會議室
ロンウェー公爵
「我が軍に加わるガルガスタン兵はどの程度なのだ?

騎士レオナール
「全体の半數といったところでしょう。殘りの3割は劍を棄てました。

ロンウェー公爵
「うむ、その殘りがバルバトス派の殘黨ということか 。

騎士レオナール
「數が少ないとはいえ、ガルガスタン軍の中樞をなした精銳部隊ばかり。
 そういったやつらを支援する村も多く、なかなか一筋なわではまいりません。

ロンウェー公爵
「わかった。バルバトス派の掃討は貴公にまかそう。一刻も早くケリをつけるのだ。

騎士レオナール
「おまかせくださいませ。

ロンウェー公爵
「幸いバクラムはあれ以上、南下するつもりはないようだ。
 以前に暗黑騎士團と交わした密約が生きているのやもしれん 。
 再度、密使を出すとしよう。
 さて、ゴリアテの英雄殿には1ヶ月前に敵前逃亡をはかったヴァイスの追討を賴もう。

デニム
「 討たねばなりませんか?

ロンウェー公爵
「わかっていないようだな。あやつは英雄殿とは違う。
  手段や方法に違いがあっても私と英雄殿が頭に思い浮かべる理想は同じだ。
 同じだからこそ、英雄殿は戾ってきてくれた。そうであろう?
 しかし、ヴァイスは違う。
 あやつはただ戰いたいだけなのだ。
 崇高な理念もなければ具体的な戰略もない。
 あやつはそんな自分に腹を立てている。無能な自分に怒りを感じているのだ。
 喚きちらすしか能のない子供はその怒りを自分より優秀で人望のある幼なじみにぶつけている 。
  この1ヶ月の間、私はそれでも待った。ヴァイスが歸ってくるのをな。
 しかし、もう時間切れだ。
 あやつは我が解放軍にとって目の上のたんこぶになりかねない危險人物だ。

カチュア
「で、でも、賞金までかけなくてもッ。あまりに酷すぎる 。

ロンウェー公爵
「私とて、つらいのだ。わかってくれたまえ、カチュア。

カチュア
「 なんとか言って、デニム。

デニム
「 僕がここにいる限り、ヴァイスは戾ってこないかもしれない。

カチュア
「 姊さんのいうことがきけないのね。いいわ。 勝手にしなさい。

デニム
「姊さんッ!

騎士レオナール
「放っておけ、デニム。

ロンウェー公爵
「 行ってくれるな?

ロンウェー公爵
「 おお、そうだ。ゼノビアのミルディン殿がもどっておるぞ。

デニム
「えっ!本當ですか?

ロンウェー公爵
「うむ。ミルディン殿とウォーレン殿の二人だけではあるが。
  ウォーレン殿がひどい怪我をしているそうだ。後で寄っていくとよい。


解放軍兵士
「た、たいへんです。
 ガルガスタン兵の襲擊ですッ!!

ロンウェー公爵
「 ふうッ、またか。往生際の惡いやつらめ。

騎士レオナール
「いくぞッ、デニム。

頁首

沒有留言 :

張貼留言