ハボリムの正体

 

クリザロー廢屋
デニム
「 話って何ですか?

劍聖ハボリム
「 ハイムで流れているウワサを知っているかい?

デニム


劍聖ハボリム
「解放軍に二重スパイがいるって話だ。きみも聞いたことがあるだろ?

デニム
「 僕はハボリムさんのことを疑ったりはしていません。

劍聖ハボリム
「もちろん、私はスパイなんかじゃない。ただ

デニム
「ただ ?

劍聖ハボリム
「 かつて私はロスローリアンの一員だった。

デニム
「!!

劍聖ハボリム
「私の名はハボリム‧ヴァン‧ラームズ。ローディス人だ。

デニム
「ラームズ ?ま、まさか、あの!?

劍聖ハボリム
「 そう、暗黑騎士バールゼフォンは私の實の兄なんだ。

デニム
「そ、そんな !

劍聖ハボリム
「待ってくれ! 私は本當にスパイじゃない!
 私がこの島へやってきた本當の理由は兄‧バールゼフォンを殺すため! 信じて欲しい!

デニム
「どういうことなんですか ?

劍聖ハボリム
「ヤツは、父と母を殺したんだよ 。

暗黑騎士バールゼフォン
『元老院のおいぼれどもに何がわかるというのですかッ!
 ローディスの君主である教皇を輕んじ、商人や下級貴族が政治に口出しする 。 國賊とはまさに奴等のこと!
 今、この腐敗したローディスを元の姿に治すことのできるのは 我らロスロ ーリアンだけ!
 父上、どうか明日の評議會では我らに力をお貸しください!

ヴォグラス准將
『しつこいぞ、バールゼフォン! ダメなものはダメだ!
 わしは元老院の提案に贊成だ。 これ以上、ロスローリアンの權限を強化させるわけにはいかん!
 おまえの賴みといえどもこれだけはダメだ!

暗黑騎士バールゼフォン
『父上ッ、あなたはいつから貴族の犬に成り下がったのですか!
 ラームズ家 は誇り高き部門の長。 家名に泥を塗るおつもりかッ!

ヴォグラス准將
『どうかしているのはおまえの方だ!
 わしの命令でロスローリアンに潛入しながら、教皇派の犬になりおって !
 おまえなどには家督を繼がせぬ!さっさとここを立ち去れッ!

ヴォグラス准將
『行くぞ、ハボリム!

ハボリム
『ち、父上ッ!!

暗黑騎士バールゼフォン
『愚かな 。

ハボリム
『兄上ッ!! なんということをッ!!

暗黑騎士バールゼフォン
『おまえとてわかろう! このままでは國が滅ぶ!!
 元老院はこの國の病巢だ! そして父上もまた、この國に巢食う病魔の一人なのだッ!!

ハボリム
『兄上はどうかされている! このようなやり方を民が認めるものか!

暗黑騎士バールゼフォン
『我らは確實に人心をつかんでいるぞ! それはおまえも知っていよう!
 これ以上、私の手をわずらわせるな! すでに齒車は動き出した! 默って私についてこい!!

ハボリム
『兄上は戰爭を起こすおつもりか!?
 ならば、父上と同樣に私を殺してから行かれよ!!

暗黑騎士バールゼフォン
『ここまで聞き分けのないヤツとは思わなかったぞ 。


劍聖ハボリム
「教皇派のクーデターによって多くの貴族が殺害された。
 もちろん元老院の政治家たちも肅正され今では教皇派の連中が元老院を牛耳っている 。
 やつらに捕らえられた私は兩目をつぶされ、國外追放の處分を受けることになった。
 父を殺したのは私だとされたのだ 。

デニム
「そんな 。ひどいことを 。

劍聖ハボリム
「母上が亡くなったことを知ったのはクーデターか𞕛ヶ月後だ。
 事故死と發表されたが、やつらに協力的ではなかったため毒を盛られたらしい 。

デニム
「 。

劍聖ハボリム
「信じる信じないはきみ次第だが、神に誓ってウソは言っていない。

デニム
「ハボリムさんは復 のためにこの島へ來たのですね。

劍聖ハボリム
「 そのとおりだ。

デニム
「バルバスの造反により、タルタロスらは捕らえられたようですが、
 僕らがハイム城を占領したとき彼らの姿を發見することができませんでした。
 現在、影たちを使って搜索を進めていますが、すでにこの島を離れたかもしれません。

劍聖ハボリム
「わかっている 。だが、信じて欲しい。
 私は復 のためだけにここにいるのではない 。きみたちの力になりたいのだ。
  私は祖國を愛している。 しかし、今のローディスは教皇派の台頭によって本來の姿を失ってしまった。
 このヴァレリアを今のローディスのようにはしたくない!
 私はきみたちの革命に參加できることをとても誇りに思っているんだ。

デニム
「話してくれて、ありがとう。
 今までどおり、僕はあなたを信賴します。

劍聖ハボリム
「ありがとう、デニムくん。

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