オルゴール

 

アルモリカ城の城下町
デニム
「ランスロットさん

聖騎士ランスロット
「やあ、デニムくん。よくここがわかったね。

デニム
「ギルダスさんが、きっと、ここだろうって。

聖騎士ランスロット
「そうか。 こっちへ來たらどうだい。

聖騎士ランスロット
「どうしたんだい、うかない顏をして?バルマムッサでの武裝蜂起の件かい?

デニム
「とても危險な任務だって、レオナールさんが言ってました 。

聖騎士ランスロット
「きみらしくもないな。おじけづいたのかい?

デニム
「そういうわけじゃないけど 。

聖騎士ランスロット
「いいんだよ、誰だってそうだから。

デニム
「ランスロットさんも、怖いと思うことがあるんですか?

聖騎士ランスロット
「そりゃ、もちろんだよ。戰いのたびに震えがくるぐらいだ。
 だけどね、死ぬわけにはいかない、そう思えば、怖さなんてなんとかなるもんさ。

デニム
「死ぬわけにはいかないか 。僕は革命のためなら死んでもいいと思っている 。
 へんですね。
 そう思っているのにふと氣づくと、死の恐怖におびてる自分がいるなんて 。

聖騎士ランスロット
「命を賭けるということと死ぬということは全然違うことだ。
 きみが本當に民のことを考えるのなら死んではならない。
 自分の戰いの行く末を見屆けなければ。
  それに、きみには姊さんがいるじゃないか。そのためにも生きなければ。

デニム
「ランスロットさんはどうなんですか?誰かのために死んではいけない ?

デニム
「それは ?

聖騎士ランスロット
「このオルゴールは死んだ妻の形見だ 。

デニム
「形見 。

聖騎士ランスロット
「もう4~5年前になるかな。帝國と戰う前のことだ。
 帝國に追われ、各地を放浪しているうちに、妻は病氣にかかってね。
 そのまま逝ってしまった 。
 幾度となく妻のあとを追って死のうと考えたことがある。
 戰いの前にはとくにそうだった。
 でもね 。そのたびにこのオルゴールが教えてくれる。
 命という名の責任の重さをね 。
 死んではいけない、自分のまいた種の成長を見屆けなければならないってね 。

デニム
「命という名の責任 。

聖騎士ランスロット
「きみたちのような若者が戰わなくともよい そんな世界を築きたいものだな 。

頁首

沒有留言 :

張貼留言